村川マルチノ佑子


2度目の波佐見焼展「あいもこいも」でした!というか今もやってます!

このブログでは、人が展示されたコーナーを簡単にご紹介したいと思います。
町の皆さんのご協力とご理解なしでは成立しなかったコーナーです。

−−−−人がつくる もの、こと、まち。

ものの先には人がいる。たどっていけば人がいる。始まりに人がいる。
今回は波佐見焼だけでなく、産地に欠かせない「人」にもスポットを当てることになりました。
産地としての波佐見が大きく変わったと言われるこの10年に着目し、直接波佐見焼に携わっていない方々も取り上げられています。

一瀬町長は以前から「波佐見は結(ゆい)の町。一旦、個人の都合は脇に置いて、みんなで協力してやろうや、というところ。」と話していらっしゃいました。「波佐見焼展」という冠にもかかわらず、波佐見焼に直接携わらない人も多く取り上げた構成が実現しているのは、日頃から業種を超えて街を盛り上げようという姿勢だからではないでしょうか。

内装やグラフィックのテーマは「おまつり」です。
波佐見はたくさんのお祭りがある町で、お祭り好きな人が多いから。
屋台みたいな什器を原田さんが設計して、町や会社が持っている備品も使いながら作ってあります。

人を展示するテーブル(屋台モチーフ)は全部で7つ。

①ことをおこしはじめた元祖御三家

一瀬政太さん(波佐見町長)
児玉盛介さん(西海陶器会長)
深澤清さん(グリーンクラフトツーリズムのパイオニア)

この方々がいなければ、今の波佐見はなかったお三方。遡ること10年前、どんな決意をして今まで取り組んでこられたのかを、ゆかりの品々、愛用の波佐見焼とともに紹介しています。

②よそもの・ばかもの・当時わかもの

長瀬渉さん(陶芸家)
阿部薫太郎さん(東京西海(株)取締役 /ディレクター)
岡田浩典さん(カフェモンネ・ルギ・ムック店主)

いろんな縁で、西の原にやってきた&関わることになった皆さん。
若者だった頃からこれまでを振り返る構成。若者の頃の思い出の品、作品、お店で使われている波佐見焼を紹介しています。今や、3人を通して県外から多くの人が波佐見を知ってくれています。なんだかもっとずっと前から波佐見にいたような気がする皆さん・・・。

③ピンチをチャスに変えた人

松尾一朗さん(natural69
馬場匡平さん(マルヒロ)

実はお二人とも、家業に入ったのは「会社がピンチ」の時だそう。どんなピンチだったのか、どんな波佐見焼を作ってきたのか、これまでを紹介しています。全国に商品のファンがいる、経営者としても注目されるお二人です。
馬場くんからは、花を背負いたいとのことでリクエストを預かりましたが、デザイナーが開店祝いの花を背負わせてしまいました。松尾さんは愛犬とのツーショット!特にリクエストはなかったものの、ワンコやニャンコに甘い制作チームなので、わんちゃんは別途プリントしてパネルにし、勝手に存在感マシマシに仕上げました。

④世代交代進行中!俺たち54年組!

福田雅樹さん(翔芳窯)
樋渡常司さん(藍染窯)

お二人とも昭和54年生まれ。ヒアリングでは、お父様がつくってきたものを受け継ぐ責任や静かな覚悟みたいなものを感じるお話でした。お父様のヒット作、ご自身のヒット作を並べて紹介中。見たことある!という波佐見焼がずらっと並んでます。変化は進化なのだと思う展示です。
ちなみにお2人とも、学生時代は野球部。

⑤波佐見デッドラインズ

山口正樹さん(かんな職人)
山下信也さん(判子職人)
野﨑真希さん(伝統工芸士)

職人という言葉がぴったり。習得が難しい技を持つみなさん。大切な道具とともに、技のすごさを感じる現物を紹介しています。初日の様子を見ていると、このテーブルを撮影するお客様が本当に多かった!
現時点で山口さんと山下さんの後継者はいません。

⑥細腕だけど頼もしい大奥たち

岩㟢裕子さん((株)岩㟢紙器/取締役企画部長)
里山ハルミさん(文吾堂/事務)

波佐見での仕事やイベントのたびに、主要運営メンバーの奥様、パートナーをはじめとする女性たちの活躍に目を奪われます。様々な業務をきっちりこなし、物事を進めていく皆さんがいないと、絶対に成功してません!
だけど、表に出る役割の旦那さんたちに比べ、スポットが当たることはほとんどゼロ。
だから、いつか、大奥チームを紹介できればと思っていました。今後も、もっと伝えたい人たちです。
いつもお疲れさまです!
この取材で里山さんとは初めてゆっくり話すことができました。個人的にも嬉しい時間でした。

⑦なんだか楽しそうな人たち

岩㟢大貴さん((株)岩㟢紙器/代表取締役)
山脇慎太郎さん((有)新栄観光 専務取締役)

家が近所ということもあり(近所と言っても車で行く距離感ですが。)幼い頃から知っている2人。
会った時には、親が最近歳をとったとか、歳をとっても元気だとか、元気すぎるとか、そういう話を主にしています。
直接 言うことはありませんが、仕事を楽しんでいること、大変なこともあるだろうけどそれを感じさせないところ含め、割と尊敬しています。(後で消すかもしれないので、残しておきたかったらスクショしておいてください。)
山脇さんは、今回の展示では観光ブースを担当するとともに、あいもこいも記念「ディープ!!波佐見ツアー」を企画実施されます。申し込みは11月スタート予定。ちらっと内容を見せてもらいましたが、波佐見のコネクションが3日で手に入る!と言っても過言ではないツアーでした。

そのほか、こんなコーナーも。

「波佐見一目壁」波佐見焼のヒット作や人気作を俯瞰できる棚。


「観光ブース」新栄観光と波佐見のプロフェッショナルガイドチームの管轄。


「波佐見の陶農」器とは切り離せない、食。美味しい「波佐見の食」もあります。
まもなく、棚田まつり、棚田サミットが行われる鬼木の美味しいものずらり。


「中尾山×東京藝大ゆかりの作家たち」冷汁碗が完成するまでのプロセスを交互に担当!


「ワークショップコーナー」(有料)好きな形を選んで、絵付けの体験ができます。


こちらの写真は、長崎から足を運んでくださったクライアントさんのもの。何を描かれたんですか?とお尋ねしたら、見たらすぐにわかるよ!とのこと。本当にすぐにわかりました。(来場ありがとうございました!)

たくさんのお客様がいらっしゃったので、写真をアップするのは控えましたが、もちろん波佐見陶器市コーナもあります。今回は特別に、特売コーナーを作られています。本当に陶器市みたい。
他にも、いろいろ!

−−−−制作、時間なかった。

制作の方は本当に最後まで間に合うのか不安でした。

締め切りまで時間がないことがほとんどですが、それでもかなりタイトな方でした。
すべての始まりになる取材スタートが81週目です。

設計の原田圭さん(DO.DO.)が、すべてが終わった打ち上げの席でまさに打ち上げてくれたのですが、施工スタッフの方に話を持って行った時点で「どうすんの?って言われましたよ」と。
そして、原田さんもどうすんの?と思ってましたと。
原田さん、奇遇にも、私も同じこと思ってましたよ!!

取材と執筆をお手伝い下さった藤村志乃芙さん(bunpitsu)も、どうすんの?って思ってたみたいで、コピー周りの構成確認にいきなり呼び出した時も、すぐに波佐見まで来てくれました。波佐見で一番遅くまでやってる店・ジョイフルで、閉店近くまで書いた夜もありました。どうすんのって言いながら。
立体的な読み物としての要素が強い構成にしたため、パネルの設置場所、中に入る言葉に合わせた形などもライティングチームであたりをつけていきました。

もちろん、取材にご協力いただく皆さんにも、急なお願いをすることになりました。
お盆前の慌ただしい時期、しかも波佐見高校が甲子園に出場を決めていろいろ盛り上がっていて、町全体が熱闘!熱盛!な時期にもかかわらず、快くご協力いただき、良いスタートを切ることができました。
図々しくも、皆さんのお気に入りのもの、大切な思い出の品(超・私物)も展示させていただく内容にもかかわらずです。
中には、結婚前にパートナーにプレゼントされたものなんていう役所的個人情報を超える情報のものも含まれていて、もうこの時点で「結(ゆい)」すぎました。ありがとうございます。

特大のパネルから小型のパネルまで、300枚近く。
内容の構成を決めて、質問を決めて、人をリストアップして・・・
レンタル品のピックアップから校了まで振興会の山下さんに調整・サポートいただきなんとか乗り切りました。

その後は大きなパネルから順に制作&入稿。
特に人を展示するコーナーは、パネルが主になるので、作り方も一工夫してます(この詳細はいつか羽山がデジマグラフのブログに書くとして省略)。

東京で出力するものをまず最初にアップ。その次に大きなサイズの出力とカットは岩崎紙器さん。「弊社(デジマグラフ)に送ってもらえればカットのお手伝いします!」といったものの、送る時間すらないという綱渡りスケジュールでした。
しかも岩崎紙器さんは社員旅行前日。絶対に明日に持ち込めない仕事・・・!その日の夕方まで事情を明かさず黙って切り続けてくれました。ありがとうございます。レセプションで会った時には、抱きしめようかと思いました。

小さなパネルは会社のプリンタで出せるので、後回し!社内のみんなで仕上げて切ってました。(私はカッターは苦手なので、他のみんなが頑張りました)設営に出発する日の朝までデザインチームは事務所で切ってました。
スタッフの大久保さんは、着替えの服をたたむ余裕がなくて、丸めて詰めてきた。と。
スタッフの西村くんなんて「(設営が終わった後の会場を見て)震えがきました。ここにあるパネルすべて入稿したかと思ったら・・・」と感動のポイントがずれてたし。

みんな全力疾走、スムーズなバトンパスで不可能を可能にした感じでした。

一人でもちょっと歩いたら、多分間に合わなかったと思う。
そんな状況でも、それぞれが途中で思いついてしまったベター案を捨て切れない、全部やれる気がする「制作的ゾーン」もしっかりやってきてくれて・・・。風船、風鈴、紙風船、最後の方で風車も追加!と、ますます「どうすんの?」になりながらも、なんとかなりました。
そこには制作者としての欲ももちろんあるけれど、波佐見を好きなみんなの、協力してくれた皆さんへの「愛」だったと思います。

こだわりを捨てない、愛あるみんなと制作できてよかったです。

お疲れ様でした。

そんな 長崎・波佐見焼展あいもこいもへ、どうぞ行ってみてください。
昔のデザインとは思えない波佐見陶器市の法被を着たスタッフさんがお待ちしています!

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