「見てごらん。」
85歳になる祖母の口癖。
今でも実家に帰るとその日の新聞の気になる記事を指して
見てごらん、ほら。と言う。
こちらが運転していたとしても
きれいな風景を見つけて「見てごらん。」という。
子どもの頃からいろんなところに連れて行ってもらい
いろいろと見せてくれた。
夏休み、資料集や歴史の本から集めた古墳の研究をして提出しようとしたところ
両親がその仕上がりをほめる中、祖母は「実際に見ないとわからないことがある」と
それでは完成でないというようなことを言った。
結局、父の運転で宮崎県まで古墳群を見に行き、仕上げ直すことになるのだが
確かに、実際に見ないとわからないものだ。
そこで見た古墳は教科書みたいにはっきりとしたものではなかった。小さな丘だった。
当然ながら、きれいなカタチで残っている訳が無いのだけれど。
がっかりしつつも、地元の低山が実は古墳ではないかとの妄想もできた。
本を読んだら、更に読みなさいと他のものを持ってくる。
そのあとは、本物を見せようとしてくれる。
そして、どう思ったか、どう感じたかを必ず尋ねてきたし、
文章にすることをすすめた。
好奇心の持ち方と、その好奇心を放って、後を着いていくやり方、
着いていけば、何かしら収穫があることと、
収穫の中にちょっとした驚きが必ず含まれていること。
イメージ通りのものなんてないということ。
子どもながらに、勉強に厳しい人だと思っていた時期もあったけれど
より人生を楽しむ方法を教えてくれたのだなと思う今です。
私が移動中に眠るのが苦手なのも
「ドライブ中に寝るのはもったいない、何が見れるかわからないのに」がもっとーの
祖母の影響だと思うことにします。
この写真は、今の私と同じ年の祖母。両親の写真を見ても思うのですが
今の年齢の自分たち世代には出せない貫禄がありますよね。
(老けてる、と言い換えられますが。)
高校時代の父なんて、「会社で中堅」くらいの形相をしていますし・・・なんでだろう。